近江西国三十三所観音巡礼 (画像をクリックすると拡大されます)
第4回  湖東、湖南 二十五〜二十七、二十九〜三十三番 満願  平成24年11月15〜16日
一段と冷え込んだ上に雨となった16日、一転して小春日和の好日となった17日と甲賀市を中心に残りの八寺を打ち納めた。甲賀市の水口町では倉敷時代にお世話になった元の会社のO君とバッタリ出会った。お互い初めて来た所で出会う、奇縁だ。
また最後に結願となった33番札所は湖南市にあり、後で地図を確認して分かったことだが、私が勤めていた会社の滋賀の工場とは数q、社宅とは数百mのところにあった。これも縁のようなものを感じる。
近江三十三ケ所は湖南市から始まって、湖南市に戻る。最後に回るのは甲賀の地だ。『近江は良材の産地で、中でも高島郡と甲賀郡は、大木の多いことで聞こえていた。長谷の観音も、近江から出た霊木で作られ、東大寺や比叡山の用材は、すべてこの地方から調達された。しぜん良弁僧正や、伝教大師の遺跡は、方々に残っている・・・』(白洲正子『十一面観音巡礼』)という里だ。
甲賀の里
 
第三十二番 園養寺   滋賀県湖南市三雲  
東海道線から草津線に乗り継ぎ、9時48分に到着した三雲駅を歩きだすと雨が強くなったのでポンチョをまとった。駅から園養寺まで2qの距離だが、残り600mの所でお寺の看板が目に入った。石段があって線路を直に跨いで行くと境内で、思いがけない近道に得をした気分。珍しい景観だが、伝教大師開基の古刹の境内入口を、後から線路が強引に横切ってしまったのだ。
線路を跨ぐと境内 90段の石段が本堂へ導く  本堂

桜の名所とのことだが紅葉もきれいだ。 時折の小雨が体を濡らしていく。三雲駅に戻って貴生川駅に向かい、近江鉄道本線に乗り換え日野駅に。岐阜駅のコンビニで買ったおにぎりを車中で食べる。
境内の紅葉 JR草津線 三雲駅 貴生川駅

 
第二十五番 金剛定寺    滋賀県蒲生郡日野町中山
11時50分日野駅に降りると雨脚が強くなった。小降りにもなりそうにない空の様子。寺までは3qあり体が冷えると困るので、タクシーを15分まって乗車した。金剛定寺の名を告げても、運転手さんは知らないという。ウォーキング用のナビの案内で寺に向かった。
日野は近江商人を数多く輩出した所 金剛定寺山門 山門からの眺め
 
雨の中に映えた紅葉が印象的だった。落ち葉の色合いも、、。鑑真和尚伝来の仏舎利を有し、かつては大伽藍を誇ったお寺である。 タクシーに乗ったおかげで1時間早い電車で水口駅に向かうことができた。
本堂 日野駅 木造のホーム屋根 
 
 
第二十六番 大岡寺    滋賀県甲賀市水口町京町
水口駅から800m、町外れに大岡(だいこう)寺はある。大銀杏を目当てに行ったら、境内裏に回ってしまった。二層の大仏殿造りの本堂は300年前の建立。緑の鉛筆には「鉛筆供養 進学祈願法要 十一月吉日」とあった。
水口駅 境内の銀杏 大岡寺 本堂
 
 
 第二十七番 千光寺   滋賀県甲賀市水口町嶬峨
大岡寺からの道を歩いて行くと「東海道 水口宿」の石碑が立っていた。野洲川に沿って歩いて来た道は旧国道1号線のようだ。1時間歩いてようやく千光寺に。
本堂前にご朱印をいただく寺守の方の地図が示されていた。お宅を尋ねるとご夫婦が寒かったでしょうと迎えて下さり、奥さんは熱いお茶を入れて下さった。時折の雨と冷たい風で寒くて参っていたので、熱いお茶は本当に有難かった。ご主人は75歳で14年前に脳梗塞を患い、言葉と足が少し不自由でいらっしゃる。差し出した納経帳にゆっくり丁寧にお印を書いて下さった。水口の町へ戻ろうとしたときに雨が強くなって、ご主人がホテルまで車で送って下さった。
水口宿の碑 野洲川を渡る 千光寺 本堂
 ホテルでチェックインを済ませ、温かいものでも食べようと近くのショッピングモールに向かった。映画館の前を通ると、「北のカナリアたち」が上映されている。冷え切った体を温めるのに映画館は格好だと思い、うどんを食べ映画を見ることにした。映画館への通路を急いでいると見覚えのある顔が眼に入った。声を掛けると、倉敷で一緒に仕事をしたO君に違わなかった。投宿のホテルで会合があるという。映画の後に二人で食事をし、まさかの邂逅を楽しんだ。
 
第二十九番 檪野寺   滋賀県甲賀市甲賀町櫟野
2日目は満願を迎える日だ。7時20分にホテルを出て水口駅から貴生川経由でJR草津線甲賀駅に。ここから貸切となったコミュニテイバスで檪野(らくや)寺前に。檪野寺は近江三十三ヶ所では一番南にあり、三重県境までは数キロの位置。伝教大師が櫟(いちい)の立ち木に彫った観音様が始まり。
甲賀駅 甲賀と言えば忍者 駅前にて 入口

そのご本尊の十一面観音様は丈六像で、『日本最大座仏十一面観音菩薩』とお寺に貼り出してある。丈六というと5m近い。境内には土俵があり、坂上田村麻呂の奉納が起源となって、現在でも毎年10月18日に小学生などの奉納相撲が行われているようだ。また鎌倉時代には源頼朝の帰依も篤かったという。
本堂 奉納相撲の土俵 本堂にて
 
 
第三十番 檜尾寺文殊院    滋賀県甲賀市甲南町池田 
JR油日駅までの3qを歩く。のどかな山里で、朝9時を過ぎて陽が当たりだすと、山影の田畑から水蒸気が狭霧のように立ち始める。油日の駅はユニーク駅だ。忍者屋敷をイメージした外観もさることながら、地域の住民の方が駅員をされている珍しい駅。この駅は40年前に無人駅となったが、自分たちの駅をさびれさすまいと「油日駅を守る会」を結成し、住民の方が交代で駅員をされておられる。
狭霧たつ  銀杏黄葉 JR油日駅 住民の方が駅員
     
甲賀駅で列車を降りて、文殊院まで1.5qを歩く。途中に変わった鳥居があった。檜尾(ひのお)神社の鳥居と思われるが、高さが2mほどの寸詰まり。このような様式の鳥居もあるようだ。
 甲賀駅南口にて 低い鳥居 里の秋

うららかな日に、うららかに歩いている。不思議なことに気付く、誰にも出会わないのだ。町の通りでも農道でも境内でも。平日の10時ではあるが。
檜尾寺と檜尾神社 文殊院 甲賀駅ビル壁画

 
第三十一番 正福寺    滋賀県甲賀市甲南町杉谷
甲賀駅から甲南駅にJRで、甲南駅から正福寺まで3q余りを歩く。ここでも人に出会わない。正福寺は新名神の甲南PAのすぐ近くにある。つつじが刈り込まれたまっすぐな石段を気持ちよく登って行く。仁王門を見て驚いた。
忍者屋敷の看板 正福寺 石段 仁王門

格子さえも無く、吹きさらしの中に仁王様が立っている。雨風に打たれた姿は痛々しくもあり、鬼気迫るものがある。ご住職が応対下さる、私のカメラを見てカメラ談義になる。私はNikonのこのシャッター音が好きなのですと、庫裡から本堂をノーファインダーで”カシャン”と撮った。
昼はいつもコンビニのおにぎり2個と決めているが、人にも会わないくらいだから10数キロ歩いてもコンビニにも出会わない。甲南の駅近くに寿司屋があったので太巻き一本を急いで作ってもらう、580円なり。
 雨風に打たれ 正福寺 本堂  Nikonのシャッター音を響かせて 
 
第三十三番 妙感寺   滋賀県湖南市三雲
甲南の駅から車中で太巻きを食べながら、甲西駅に着いた。ここは江南市のコミュニティバス「めぐるくん」に往復お世話になった。参道を突き当たった正面にお堂がある。本堂かと思い経本を取り出したが、どうも変だ。正面が閉じられている。左手にもお堂があって、「妙感寺」の額が掲げられている。こちらが本堂だ。お堂の正面は開け放たれ、大きな十一面千手観音様を眼の前に拝せられる。優しいお顔で満願を見届けて下さった。
ご住職が応対下さり、最後のご朱印をいただく。
  私  「こうして回っていると、いつか出会うものがあると思っているのですが」
ご住職 「半分の人は出会い、半分の人は出会わない」
後で地図を見ると勤めていた会社の滋賀の工場と社宅の近くだった。近江三十三ヶ所を回って行き着いた先はそこで、やはり縁を感じる。
妙感寺 方丈 本堂  お世話になったコミュニティバス
 
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