第十一回 2004年6月5日 第五十四番〜第五十九番

しおかぜ1号でいつものように児島を発ち、9時30分
に今治駅から歩き始める。 今回は久々の日帰り行。

今治駅から目と鼻の先の55番札所に先ず向かう。


    第五十五番 南光坊

    ご本尊は八十八ヶ所唯一の『大通智勝如来』


      慈母観音がおわす。

       南無観世音菩薩 
        具一切功徳 
        慈眼視衆生 
        福聚海無量 
        是故応頂礼 



    今治郊外に向けて1時間、青葉の参道が迎えて
    くれる。
    途中道を尋ねた初老の男性に100円のお接待を
    受ける。 丘を越える遍路道を行く予定であったが、
    『歩きにくいので、こちらの道がよろしい』との御忠
    告に従う。
    

第五十四番 延命寺

この門はもと今治城の城門の一つで、明治になって
城を取り壊す時に譲り受けたと、右の立札に説明が
ある。

    本堂向拝の格子天井、千社札がにぎやか。 ご本尊は
    宝冠不動明王。
第五十六番 泰山寺

五十四番から3kmほどの距離にある。
途中、国道で車が巻き上げた砂粒が右目に入り痛い。
一大事と近くの「ちゃんぽん」の店に入り、目を洗って、
昼食をとる。

泰山寺には国道から折れる道を間違え、大回りして
到着。ご本尊は”地蔵大菩薩”。

    明治二十七、八年 戦没者戦死者『忠魂地蔵菩薩』
    と読める。日清戦争の犠牲者を祭るようだ。

    父親と娘さんの親子とおぼしきお遍路が目にとまる。
第五十七番 栄福寺

泰山寺から40分程で到着。
途中、『これお接待です、ここのお饅頭美味しいのよ』
と饅頭5個を頂く。 大切にザックに入れる。


    日差しはもう夏だ。時おり青葉の風が来て暖簾を
    あおる。 染め抜かれた鐘が撞かれたかのように
    ゆらぐ。

    寺を出るときに、親子のお遍路さんと行き違う。

昔々、利口な犬がいて栄福寺と仙遊寺の使いをしてい
た。栄福寺で鐘がなると、栄福寺にいって手紙をくわえ
仙遊寺に届けるというように、鐘を合図に呼ばれた寺に
飛んでいく。
ある時、二つの寺の鐘が同時になり、どちらにいくか分
からなくなった犬が、池に身を投げたという。
その犬を哀れんでの『犬塚』がある。

ここから山道を登る。
しまなみ海道来島海峡大橋が見える。

第五十八番 仙遊寺

遍路道を登ってきたら思いのほか早く着いた。
西条から来られたという年配の男性と山門で出会い、
話しながら本堂までの長く急な坂を登る。


    きつい坂を登る。 観音様が微笑む。

    しばし同道となった西条の方が、脇にある『弘法大師
    加持水』を教えて下さり水を頂く。 冷たく美味く有難く。

納経を済ませ、自販機でお茶を買って、お接待で頂い
た饅頭を食べながら休んでいると、親子のお遍路さん
が上がって来た。
『いやー、きつい坂でした』、『お疲れ様でした』と言葉を
交わし始める。
『どちらからですか』と俄か遍路。
『新潟から来ました、今日で31日目かな』
『うん、あと10日、あと10日』と父親は語気を強める。


    帰りも『弘法大師加持水』を柄杓で頂く。
    空にしたお茶のペットボトルに入れて持ち帰る。
  次の札所までは7kmほどだが、山を下りると遍路道の
目印が少なく、道に迷い少し大廻りをする。

『四国のみち』の道標、カーブ・ミラーのステッカーを頼り
に進む。

仙遊寺から1時間余り歩いたところで、コーヒーが飲みた
くなり、喫茶店で休憩。アイスコーヒー400円也。
先回と今回のお接待で頂いたお金で払うことにした。


    第五十九番 国分寺

    ご本尊は薬師如来、お札を頂く。

    国分寺の近くに差し掛かった時、後ろから『オーッ、
    オーッ』と叫ぶような声がする。振り返るが誰もい
    ない。又、声がして今度は私を追うように走ってくる。
    言葉の不自由な方らしい、歩きながらしきりに話しか
    けてくる。でも、よく聞き取れない。『バスに乗るのか
    ?』と聞かれたようなので、『桜井駅から電車に乗っ
    て、今日は帰ります』と話したら、がっかりしたように
    立ち止まってしまった。

17時少し前に桜井の駅に着く。電車の時間まで小一
時間あり、誰もいないので暇つぶしにセルフで写真を
とる。 菅笠を被り杖をつき、お遍路の道行きを独りで
演じて撮るが様にならない。

背中の文字は『南無大師遍照金剛』、うっすら紅い印
は第一番霊山寺の御朱印。


    ついでに写す。菅笠はやはり必需品、風に飛ばされる
    こと数知れず、車に轢かれること1回、電車に置き忘れ
    ること1回。梵語の「ユ」の字と「同行二人」、そして死者
    を送る偈文といわれる「迷故三界城 悟故十方空 本来
    無東西 何処有南北」が書かれている。
    金剛杖もホテル・民宿に置き忘れること各1回、もう10
    cm以上短くなってしまった。「南無大師遍照金剛 同行
    二人」のお印がある。

電車の時間が近づいたのでホームにでると、ツバメが
トイレに入っていった。中に入ってみると巣があり、カメ
ラをかざすと、親ツバメの影と思いヒナたちは口をあけて
啼く。



17時36分桜井発、19時37分児島着。

  〔お遍路トップへ〕